3人目の妊娠15週(4か月)の時、出生前診断を受けました。
出生前診断とは、胎児に異常があるかどうか出産前に調べることができる検査です。最近では血液検査をするだけで高精度の検査が可能です。
すべての疾患が分かるわけではなく、染色体の異常が原因で起こるダウン症などの疾患の発見に限られます。東尾理子さんが受けて一時話題になりましたね。
3人目を妊娠した時、出生前検査は受けると決めていました。出産時38歳はけっこう高齢であることと、上の2人が先天性の疾患を持って生まれてきた経験があるからです。今でこそ成長とともに心配な部分はほとんどなくなりましたが、先天的な障害には遺伝が深く関係していることを考えると、私たち夫婦のDNAにはそういうのが出やすいたちなのかも、という考えがありました。
はー、めでたしめでたし。
で、終わっていいんかいっちゅー話ですよ。
この検査には常に、「陽性だったらどうすんの?」という問題がつきまといます。平たく言うと、「障害があったら堕ろすの?」ということです。出生前診断では、この究極の選択から逃れることはできません。
障害があったら中絶しますか?
障害があっても産みますか?
なんという破壊力のある質問でしょう。でも、出生前診断で陽性になるということは、こういうことなんです。中絶手術はするなら早くしないといけないので、結果が出てからゆっくり考えるヒマなんてありません。できれば検査前に答えを出しておくことが望ましいです。
私は万が一陽性だったら、出産はあきらめると決めて検査にいどみました。これは私たち夫婦がきちんと話し合って決めたことです。それでも、いざとなったら戸惑ったでしょう。陰性で、本当に良かったというのが本音です。
でも、世の中にはこのつらい選択をせざるを得なかった人がいます。
もし、あなたの友人・知人が、障害があることを知って赤ちゃんを堕ろしたら?
「障害があったって命なのに」
「頑張ればなんとかなったんじゃないの」
こういうこと、言わないであげてください。産んだらあなたが手伝うのですか。
もし、あなたの友人・知人が、障害があることを知って赤ちゃんを産んだら?
「育てる自信もないのに無責任じゃないか」
「本人だってかわいそう」
こういうこと、言わないであげてください。その子の人生に何の責任も負わないあなたが言うことではありません。
何事もなく終わった出生前診断でしたが、考えることの多い経験でした。
どんどん受けやすくなっているのは歓迎すべきと思うものの、そのぶん究極の選択をしなければならない人の数が増えるのかと思うと、何が良いのか悪いのか、よく分からなくなってきます。